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2011/7/20 バズビー博士記者会見 文字起こし

2011/07/20に行われ、ニコニコ生放送でも放送された「放射線リスク欧州委員会(ECRR)クリス・バズビー博士記者会見」の文字起こしです。
※英語からではなく、通訳の聞き取りです。口語調の言い回しは多少修正しています。

主催:自由報道協会
http://fpaj.jp/

会見の概要:
「犯罪的なくらい無責任」欧州放射線リスク委員会のバズビー博士が政府を批判
http://news.nicovideo.jp/watch/nw91091?ref=live_description

博士:

 私はECRR(放射線リスク欧州委員会)の代表です。
 このECRRと言うのは独立した機関(組織)であって、同僚達は皆、放射線を研究している学者、研究家ばかりです。
 20年間のグループの研究ですけれども、結論としては、今までのICRPのリスクモデルは、内部の放射性物質の被曝に関しては、非常に危険なモデルであるという事です。
 理論的には、研究してみると、放射性物質(核種)が体の中に入っていくと、かなり深刻な破壊を及ぼすことがあります。
 標的はDNAなんですけれども、DNAを破壊すると、癌や、お産の時の異常とか色々な病気が出てきます。
 吸収線量という概念があるのですけれども、内部被曝は吸収線量が非常に低い線量で起きてしまいます。
 ECRRの最初のリスクモデルは2003年に発表しました。
 それは、内部被曝を実際にした人達の疫学的な調査によって基づいたものです。
 どのような人達が研究の対象かというと、原発の近くに住んでいる人たちや、1950〜60年代にかけて、全世界の核実験の死の灰を受けた人たちです。
 現在の世界にある癌の疫病は、そういう人たちが核実験の死の灰に晒された結果であると考えます。
 どういう風にこのモデルを確証できたかというと、スウェーデンにおけるチェルノブイリの死の灰を受けた人たちの研究によってできたものです。
 このチェルノブイリの死の灰を受けた人たちの研究調査は、スウェーデンの北部で2004年に行われました。
 ですから、私達ECRRのリスクモデルを今、福島第一原発から放出された放射性物質に適用することが非常に重要です。
 何故かと言うと、チェルノブイリの様子と非常に似ていますから。
 ですから、私が日本に来た理由は、福島県に住んでいる人々に対して、福島第一原発の事故の結果として放出された色々な核種がどれほど深刻な問題かという事を、アドバイスを与えたいと思う。
 それは何故かというと、後で、私達のモデルが正しければ、色々な癌やお産の異常など、色々な病気が出てくるだろうと予想しますから。
 今の日本政府は現在、ICRP(国際放射線防護委員会)のリスクモデルを利用しているが、たとえば、毎時1μシーベルトの低線量の地域に住んでいるならば、そこでは安全に暮らせるとICRPのモデルに基づいて政府が言っていますね。
 ですけれども、実際は自然のバックラウンド(=環境放射線?)以上に、その地域に放射性物質が空気中にあるならば、恐らく、そこの土地が地面が、かなり色々な核種によって汚染されていると考えます。
 これに関しては重要なニュースがありますので、今からお話したいと思います。
 私は、日本から送られた、車のエアフィルターを調査しています。
 それは東京のものと、あとは福島第一原発から大体100km離れたところを走っていた車のものなんですけれども、車は人間と同じように空気を吸っているわけですから、ある程度類似性があって、それを研究すると人間に当てはめることができます。
 でも、車のエアフィルターでしたら、機器類を使ってエアフィルターの中に何があるのか調べることができます。
 驚いたことに、東京周辺と福島第一原発から約100km離れた場所からの車のエアフィルターを調べてみると、その中にセシウム134、セシウム137、その他の核種、明らかに第一原発の事故から放出されたものがその中に入っていました。
 特殊なプラスチックのフィルムみたいなものなのですが、それを使ってそのエアフィルターの中にいわゆるホットパーティクル(高放射性粒子)が入っていました。
 その中には、α線を放出する核種も入っていました。それはつまり、プルトニウムとウランの核種ですね。
 でも、エアフィルターというのは、ガイガーカウンターを持って計ったとしても非常に線量が低いという事が一応分かるんですけれども、そういう事でしたら、毎時1μシーベルト以上汚染されている地域でしたら、避難すべきではないだろうかと考えるようになりました。
 それだけではなく、計算できるんですけれども、どういう計算の結果ができたかとうと、こういうホットパーティクルの空気中の濃度なんですけれども、ヨーロッパ、つまり北半球の空気中の濃度、それは核実験のピーク、つまり1963年の頃と比べたら、今の福島県の方が約1000倍ぐらいになっています。
 それで予測できる事なんですけれども、そこに今の人口がそのまま残るという事になってくると、100km以内の地域でしたら、今後10年間の間に癌の発生率が約32%ぐらい増加するという計算の結果になります。
 こういうことはかなり前から分かっているので、政府がそこに住み続いてそのまま大丈夫だと言っていることは、犯罪的なぐらい無責任ではないかと考えます。
 それだけではなく、他にサジェスチョンがあるのですが、その中の一つは、独立した健康被害の調査を行って、実際にその地域にその結果、ホットパーティクルなどの結果として、どのような癌の発生率などが実際に表れるか見られるようにやっていただきたいと思います。


なんでこんなに日本語がおかしいかって?、通訳の人に聞いてくれw


<質疑応答>
※ここからは要点だけ書きます。

司会者:
 車の走っていた場所は?

博士:
 一つは、聞いた話では、千葉市〜東京を行き来する車。3月11日以降、100日間走っていた車。
 セシウム137は730ミリBq/立方メートル。これは核実験が行われていた60年代初めの頃のイギリスの300倍。
 もう一つは、4台の車からエアフィルターをいただいている。福島第一原発から100kmの外を走っていた。
 正確にどこを走っていたかは送ってくれた人に聞かないと分からない。

司会者:
 プルトニウムが検出されたエアフィルターは福島を走っていたものだけか?

博士:
 はっきりとプルトニウムやウランが入っている事は言えないが、α線放出核種が入っているとは言える。
 後は、γ線分析からある程度ウランが入っていることは確実。
 今はイギリスでどの程度プルトニウムとウランが入っているか分析中。

 昨日、原発から100km離れた会津若松で2箇所、携帯用のγ線分析機(光分機?)で土壌が放射線物質に汚染されていることが分かった。
 濃縮ウランがないと出てこないウラン235の特徴が認められた。

司会者:
 政府の児童の被曝基準20mSvについてどう思うか?

博士:
 こういう事を行っている日本政府は犯罪的なぐらい無責任。これぐらいの放射線レベルに子供が曝されると後で大変な事になる。
 基準値引き上げは理解できない。こちらのリスクモデルが正しければ、かなりの子供達の死亡につながる。
 政府は内部被曝を計算に入れてないのではないか。昨日の会津若松の空気の状況からしたら、とっくに基準を超えているのではないか。

記者:
 吸入する場合と経口摂取の場合で、内部被曝はどう違うか?

博士:
 人間は進化を通して、腸に入る不純物を排除する機能があるが、吸入したものに関しては排除機能が無いのでリスクの係数が高い。

 食物で危険性のあるのは、水(トリチウム、日本ではほとんど測定してない(?))
 牛乳、酪農生産物(ストロンチウム、ウラン)、海岸線に近い海の海底で採れる貝類。

記者:
 今も、毎時10億ベクレル放出されている福島第一原発の現状について。

博士:
 (しばし笑った後)これは想像を絶する災害としか言えない。私は3月11日直後から言っているが、
 福島第一原発はとにかく制御不能な状態になっているが、では、それについてどうするかという事に関しては
 今のところ、ほとんど誰も分からないぐらいひどい状態だ。
 何か早くしなければならないが、これは日本だけの問題でなく、国際的な問題、
 この責任は結局、国際原子力産業の問題ではないかと考える。
 だから、これは国連の高いレベル(IAEA)で早く何かしなければならないが、今のところ何も動いていない。
 理論上、福島第一原発の事故が続けば続くほど、結局死亡率は高くなる。
 会津若松に行ってきたが、日常的な生活をしている市民を見ると、あたかも普通の状態あるかのように見えるが、
 機器類を持ってくると大変だという事が分かる。

記者:
 現在の日本の食物(野菜)のヨウ素131の安全基準(1kgあたり2000Bq)について。

博士:
 ヨウ素131はいい政策がある。ヨウ素131は半減期が短いから、
 一旦とっておき、2、3ヶ月したら数値が小さくなるので、売ればいいのではないか。
 ただし、もっと長い半減期の核種の場合は、200km内の地域には、汚染されていない食物を
 外から持ってくる必要性がある。
 付け加えて、1kgあたり2000Bqというのは、かなりとんでもないぐらい高い数値。
 1kgあたり1〜10Bqぐらいにできるのではないか。

記者:
 ある程度汚染されている地域から、どれぐらい市民を避難させるべきか。

博士:
 立ち入り禁止のゾーン、強制退去のゾーンを決めるべき。
 同心円状のゾーンではなく、ヘリコプターにγカメラを載せて、測定して汚染度地図を作り、ゾーンを決めるべき。
 ある程度汚染された地域については、みんなを避難させると大変なので、外から食物を輸入するのがいい。
 避難しない場合は、放射性物質による体への攻撃とみなして賠償金で賄う手もある。

記者:
 半減期の短いヨウ素131の被曝量を事故当時に遡って推定することはできるか。

博士:
 ホールボディカウンターはγ線を放出する核種を測定するものなので、このような問題には役に立たない。
 深刻なのはβ線とα線を放出する核種。それらは全てくっついているわけではない。
 核種は体のあちこちにばらばらに存在しており、体内のあらゆる核種を測定してモデルを作って、
 それを使って(演繹的に?)測定すればいいが、政府がそのようなプロセスを経て健康被害を見るかは分からない。
 ホールボディカウンターは安心させる為のものにすぎなく、科学としてはまじめなやり方ではない。
 むしろ、隠蔽工作的な要素がある。後で、健康被害が出ても線量が低かったので、
 「これは放射線によるものではない」と言ってくるのではないか、という事を心配している。

記者:
 今、東京にいる少なくない人達が、「政府は本当の事を言っていない。
 実際には関東地方の食物は汚染されているので、安全基準内であっても、危険である。
 後、数年経ったら、東京から避難しなければならない、本当はそういう状態なのに、
 政府はきちんと調べたり、国民に教えていない。」と思っている人が多い。
 これから日本はどうなっていくか。アドバイスがあれば。


博士:
 福島第一原発からの放射性物質は確実に東京まで及んでいる事は確実に分かっている。
 東京は人口が大きいので、ある程度の健康被害が出てくるのは止むを得ない。
 それは、今から10年程度でかなり問題がある事がはっきりしてくるのではないか。
 政府に対してはプレッシャーをかけて、きちんとした組織を作って、
 環境と食物にどの程度放射性物質が入っているかを測定して、結果をインターネットに公開し、
 一般市民の方は、それを見てどのように行動するか判断すれば良いと思う。
 イギリスでは政府機関によって、ほとんどの食物と環境の放射性物質が測定され、公表されている。
 チェルノブイリ以降、1962年以降あたりから行われている。
 (※チェルノブイリは1962年よりも後。通訳の聞き間違い?)

記者:
 先程、日本で水のトリチウムの検査をしていないと言っていたが、どの程度で健康被害がでるか。

博士:
 ECRRのモデルだと、かなり深刻なことになるが、ICRPのリスクモデルではかなり過小評価されている。
 トリチウムによる被害は動物に関する実験で分かっているが、
 胎児の発達段階に問題があって、DNAの破壊が非常に効率よく行われる。
 トリチウムはβ線を出すが、その力は非常に弱い。
 その為、ICRPの線量の考え方だと、ほとんど無視になってしまう。その考え方は間違い。
 福島第一原発では、冷却にたくさんの水を使っているので、たくさんのトリチウムが出てくるのではないか。
 これはかなりの問題と言えるのではないか。
 トリチウムは水と同じ性質を持っているので、体に入ると体のどこにでも行ってしまう。


文字起こしは以上です。
※私は、科学者ではありませんので、内容の真偽に関するご質問にはお答えできません。
※明らかな間違いがあればご指摘ください。
 
 
 
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